▍事業環境 AIの高度化によるデータセンターの需要増加に伴い、電力需要が拡大しています。また、カーボンニュートラルに関する政策は、より現実的な路線に進んでいます。
GTCC(ガスタービン・コンバインドサイクル)は北米を中心に、旺盛な電力需要を背景とした発電設備の需要増加に伴い事業規模が拡大しています。
原子力においては、第7次エネルギー基本計画が2025年2月に閣議決定され、原子力を最大限活用する方針とともに、次世代革新炉の開発・設置についても具体化を進めていくことが明記されています。
三菱重工グループでは、高効率ガスタービンや水素焚きガスタービン、バイオマスボイラーなどの火力発電システム、原子力発電システムなど幅広いソリューションにより市場の変化に柔軟に対応することで、新たな事業機会を捕捉・創出し、地域の特性に合わせた現実的なエナジートランジションに積極的に取り組んでいます。
▍火力発電事業低炭素化ニーズやデータセンター向け電源など、ガス火力発電の需要は旺盛であり、当社は北米や中東などから多くのガスタービンを受注しました。当社製ガスタービンは世界最高水準の高効率・高出力を誇り、J/JAC※1形ガスタービンは商用機の累計運転時間が350万時間を超えるなど、その実績を基盤に信頼性の高い製品としてお客様から評価されています。大型ガスタービン(100MW以上)は、世界トップクラスのシェアを獲得しており、今後も旺盛な需要に対応するため、リーンな事業体制を維持しつつ、リードタイム短縮とスループット向上を図り、生産性の向上に取り組んでいきます。将来の市場や需要の拡大に備えて研究開発も確実に進めています。ガスタービン本体の効率向上に加え、GTCCプラント全体のさらなる効率化と高信頼性の両立を目指したAdvanced GTCC Systemの開発や、エナジートランジションへの対応として水素/アンモニアガスタービンの技術開発も進めています。高砂製作所構内に整備している高砂水素パークでは、大型ガスタービンの水素混焼実証運転を継続中です。さらに、2025年6月に米国マクドノフ・アトキンソン発電所において、M501GAC形天然ガス焚きガスタービンを用いた水素50%混合燃料による燃焼試験に成功しています。
スチームパワーはサービス需要が堅調です。電力の安定供給と脱炭素化のニーズは地域ごとに異なるため、それぞれの状況に応じて、既設プラントの高効率化や低・脱炭素化改造などのソリューションを提供しています。2024年度には、石炭火力発電所のCO2排出削減に向けてボイラー用のアンモニア専焼バーナーの開発を完了しました。引き続き社会実装に向けた取り組みを推進していきます。
今後も火力発電事業において、環境負荷低減と市場ニーズに応える製品・ソリューションを提供していきます。
※1 JAC: J-series Air-Cooled ▍原子力事業原子力事業は、日本国内において、既設軽水炉プラントの再稼働、特定重大事故等対処施設(特重施設)の設置、燃料サイクル施設の竣工に向けた対応等に取り組んでおり、再稼働済のPWR※2プラント12基の安定稼働により安定・安価な電力供給の実現に貢献しています。昨今では、先行するPWRプラントの再稼働・特重対応実績を踏まえ、BWR※3電力から再稼働対応や特重施設設置に関する支援要請が多数到来しています。
加えて、カーボンニュートラルとエネルギー安定供給の実現に貢献すべく、世界最高水準の安全性を有する革新軽水炉「SRZ-1200」の2040年代の実用化に向けて、PWR4電力※4と共同で開発・設計を進めています。標準プラントの基本設計は概ね完了しており、現在は許認可に必要なデータの取得・拡充を目的とした実証試験を継続中です。また、SRZ-1200を題材とした革新軽水炉の設計等について、規制予見性を高めるべくATENA※5と原子力規制庁の間で技術的な意見交換が始まりました。今後、具体的な建設地が決まれば、個別プラントの基本設計/詳細設計を進め、早期実用化を目指します。
また、将来の多様化する社会ニーズに対応できるよう分散型電源としての小型軽水炉、大量かつ安定的な水素製造に貢献する高温ガス炉、放射性廃棄物の減容化・有害度低減に貢献する高速炉などについて、2040年代の実用化を想定して国の支援を受けながら開発に取り組んでいます。
※2 PWR: 加圧水型軽水炉 ※3 BWR: 沸騰水型軽水炉 ※4 北海道電力、関西電力、四国電力、九州電力 ※5 ATENA: 一般社団法人 原子力エネルギー協議会