今から10年後にどのような顧客価値を提供できるのかという観点から、現在、各SBU(Strategic Business Unit)と、将来の成長戦略や事業構想に関する議論を重ねています。社会がどのように変化し、「お客様の困りごとは何か」を起点に事業戦略や成長投資の計画を策定し、具体的な数値目標に落とし込んでいきます。これらをもとに、次期中期経営計画をまとめ、来年度に発表します。
当社グループには、安全・安心の実現、エネルギーの安定供給、モノづくり産業基盤の再構築、多様化する社会インフラニーズへの対応、事業レジリエンスの強化、経済と環境の両立といった分野で、社会課題の解決策を提供できる技術とリソースがあります。設計・製造技術、顧客、人材、デジタル・AIなどからなる共通基盤を有し、これを全社横断的に活用できることが我々の強みであり、事業間のシナジーを生み、新たな顧客価値の創出を可能にします。
このような事業機会を前に、冒頭申し上げたように財務体質が改善し、投資余力が備わってきた今こそ高利益体質と成長投資の好循環を実現する会社に転換する好機と捉えています。
現在、バランスシート上に多額のキャッシュがありますが、契約を確実に遂行するための運転資本として活用するとともに、伸長事業を中心とした既存領域と、機会を先読みして拡大する領域に順次配分し、長期的視点で成長につなげていきます。
「2024事業計画」では、ROE12%以上、DOE4%以上(=利益成長8%以上)を目標として掲げました。次期中期経営計画も、目指すべき利益成長の水準と、必要な成長投資の規模を見極めながら、ROEとDOEのバランスを具体化していきます。株主還元を安定的に行いながら、将来の企業価値を高める成長投資を継続することで、持続的な企業価値の向上を実現していきます。
当社グループには、より優れた製品やサービスを通じてお客様へ価値を提供する使命があります。CFOの重要な役割は、事業(顧客価値)と資本市場とをつなぐことであり、事業戦略と資本市場の期待に応える財務戦略との間を橋渡しすることで、会社の成長を牽引していきます。
当社グループを取り巻く外部環境の変化により、「レジリエンス」をキーワードとする事業機会が生まれています。こうした機会を捉えて社会のニーズに応えていくにあたり、ITOという方法論を取り入れた現場の改善活動を推進し、収益力と資本効率を高めることで、各事業のROIC※2を向上させていきます。その積み重ねをグループ全体のROE向上へとつなげていきます。
そのつながりを可視化するのがROICツリーです。現場の改善活動やDX・AIを活用したサービス事業の拡大、ライセンスビジネスの強化、シェアードテクノロジー部門による研究開発の効率化など、一つひとつの取り組みが、どのようにして顧客価値や資本効率の向上へとつながり、ROICを高めていくのかを具体的かつ分かりやすく示すものです。このROICツリーも活用することで、収益性や資本効率の向上といった資本市場の期待にどう応えることになるのかを、日々の現場の取り組みにおいて意識付けすることができると考えています。
なお、時折、「ITOの定量的利益貢献」についてご質問をいただきますが、ITOは方法論であり、特定のプロジェクト活動を指すもので