Special Feature ITOの実践
執行役員 CTO 大村 友章三菱重工グループは2024事業計画の下、「ITO」(Innovative Total Optimization)を掲げて高利益体質と成長投資の好循環の実現に取り組んできました。その中で、私たちは縦と横の全体最適を通じて、開発・設計・調達・製造・サービスに至るバリューチェーン全体の効率化と、事業横断での知見・技術の活用を推進しています。
当社グループは、多くの技術と多様な事業を有しています。それぞれ対象とする市場や製品は異なりますが、その根底には燃焼・流体・AI・溶接・組立といった基盤技術があります。これらは当社グループが長年にわたり蓄積・発展させてきた競争力の源泉です。単独の事業で保有できる技術や経験には限界がありますが、多様な事業を持つ当社グループでは、ある事業で培った技術や知見を他事業へ展開し、開発効率の向上や競争力強化を実現することができます。この事業の壁を越えた連携こそが、当社グループならではの強みです。
変化の大きい時代においては、優れた技術を保有するだけでなく、市場や社会の変化を先読みし、将来必要となる技術やソリューションを先行して準備することが、競争力向上につながると考えています。技術開発においては、現在の顧客ニーズに応えるだけでなく、将来の社会や産業の変化を見据え、その時代に求められる技術やソリューションを先んじて準備していくことが重要です。この考えの下、当社グループではMHI FUTURE STREAM活動を通じてメガトレンドを分析し、将来の事業機会や顧客ニーズの探索を進めてきました。さらに、そこで得られた仮説を迅速に検証し事業化へつなげるため、小規模なチームによる実証と改善を繰り返しながら、技術開発のスピード向上にも取り組んできました。こうした活動を通じて、新たな製品・サービスの創出や事業化を加速するとともに、お客様へのより迅速な価値提供を実現しています。
近年はデジタル技術やAIの進展が加速していますが、私たちはAIやデジタル技術そのものが価値を生むとは考えていません。重要なのは、それらをハードウェア技術や現場・運用で蓄積された知見と融合させることです。私たちは、単なるデジタル化ではなく、デジタル技術を活用して製品や設備をつなぎ、運用データから新たな価値を引き出し、従来の製品提供にとどまらないソリューションを実現することを目指しています。「ΣSynX®(シグマシンクス)」は、この考え方を体現する当社グループのデジタルイノベーションコンセプトです。
2024事業計画の下で進めてきたITOは、当社グループが持つ共通基盤を活かし、事業横断で価値を創出するための仕組みづくりでもありました。2027年度から始まる次期中期経営計画では、社会や産業のレジリエンス向上に対するニーズの高まりを新たな事業機会と捉え、レジリエンスをキーワードに取り組みを展開していきます。私たちは、エナジー、プラント、機械、防衛などの幅広い事業を通じて培ってきた技術基盤を核としながら、オープンイノベーションを通じて外部の優れた技術や知見も積極的に取り込みます。そして、既存事業の競争力強化にとどまらず、社会のレジリエンス向上に資する新たな事業やソリューションの創出を加速していきます。