持続的な成長を支えるのは、約7万人(2026年6月末時点)の人材の力です。当社グループには「社業を通じて社会の進歩に貢献する」という社是があり、これがDNAとして深く根付いています。だからこそ、複雑な社会課題の解決にも高い責任感・使命感を持って取り組むことができるのです。これからも、社員一人ひとりが、「自分の仕事が世界中の人々の生活を支え、社会の進歩に貢献している」というやりがいを持てる会社にしていきたいですし、社会的な使命感を持って仕事に臨むことで個々の能力が最大限に発揮され、それがさらなるイノベーションの創出につながると確信しています。
モノづくり人材の育成においては、熟練技術者の匠の技を重んじる一方で、最先端のAIやデジタル技術を活用した人的基盤の強化を急ピッチで進めています。その1つが、熟練技術者の暗黙知をAIの活用で「形式知化」する取り組みです。これにより、若手社員が自己学習を通じて匠の技を習得することができ、飛躍的なスピードでの成長を実現する環境が整いつつあります。
また、各工場や事業部に在籍する専門家同士をつなぐ、緩やかな横のコミュニティの形成にも力を入れています。こうしたコミュニティを通じて、ある事業部で発生した課題に対し、同様の経験を持つ別の事業部の専門家が即座に駆けつけて支援をするといった連携が生まれています。豪州次期汎用フリゲートの受注に際して、スチームパワー部門の人材が非常に重要な役割を果たしたことも、こうした連携の1つです。彼らがグローバル市場で培ってきた契約交渉やリスクマネジメント、プロジェクト管理の知見が、防衛事業というまったく異なる分野で大きな力を発揮しました。
このように、組織の壁を越え、多様な経験と知見を横通しすることで、リーンな体制で事業を動かす仕組みが機能し始めています。困難な課題に直面しても、社内に必ず解決の糸口を持つ「先生」がいる。これが当社グループの人的基盤の強みです。
▍AI エージェント生成AI
10年後の世界においては、社会のニーズや課題はさらに複雑化すると考えています。その中で当社グループは、他社には提供できない桁違いの顧客価値を創出し、社会のあらゆる場面で必要とされる存在になることを目指します。
2027年度から始まる次期中期経営計画は、10年後を見据えた長期ビジョンを実現するための極めて重要なマイルストーンとなります。策定にあたっては、ITOのさらなる深化を軸に、さまざまな指標を桁違いに成長させるための確固たる仕組みづくりに重点を置いて議論を進めています。
長期的な目標として、技術的にも非常に高い目標を設定しますが、そのアプローチは極めて現実的です。壮大な目標をそのまま追うのではなく、やるべき内容を細分化し、それぞれが短期間で確実な効果を生むよう設計します。例えば、次世代のGTCC技術を開発する過程で生まれた成果を、次世代製品だけではなく、既存製品のアップグレードメニューやアフターサービスとして速やかに展開し、顧客価値をさらに高めます。これにより、短期的にもキャッシュという成果を出しながら、その利益を次の長期的な成長投資へと回していく好循環を実現します。
就任からの1年間で、ITOという方法論が確実に社内に根付き、大きな成果を生み出す感触を得ました。しかし、私たちの取り組みはまだ始まったばかりです。目の前の業務の着実な遂行と収益化を図りながら、社会のニーズを先読みして、常にその先を考えて行動し続けることで、価値創造を続け、皆様の期待を大きく上回る「桁違い」の成長軌道を描いていきます。皆様におかれましては、これからの三菱重工グループの飛躍に、ぜひご期待ください。