リティや耐久性が求められるデータセンターなどにも応用するというように、事業領域が既存領域から無限に広がっていく可能性を秘めています。「レジリエンス基盤領域」は、当社のすべての事業にとっての成長ドライバーとなります。
3つ目の「事業競争力の強化」は特定の事業を念頭に置いたものではなく、全事業部門が取り組む共通のテーマです。デジタル技術の進展やサービスの高度化などを核として取り組むことで、利益率が目に見えて向上しています。例えば北米の紙工機械事業では、サービス員が訪問することが難しかった遠方のお客様に対し、AR(拡張現実)技術を用いたリモート支援をご提案し、大変好評を頂いています。これにより私たちがサービスを提供できるお客様の範囲が広がるとともに、クオリティの高いサービスに相応の価値を認めていただくことで事業の収益基盤が強化されました。私たちが目指すのは、ビジネスモデルを進化させ、顧客価値の向上と当社の収益拡大を両立させることであり、グループを挙げてさらなる推進を図ります。
新たな領域への挑戦においてはオープンイノベーションを重視しています。当社グループにはない先進的な技術や専門性を持つスタートアップを見つけ出し、協業を進めています。また、ベンチャーキャピタルへの投資を通じて世の中のテクノロジー動向をウォッチし、知見を得る仕組みも整えています。例えば、米国の宇宙衛星系ベンチャーとタッグを組み、当社の機器と組み合わせて宇宙から地上を観察するシステムを開発し、実証実験を行う段階まで来ています。外部とのパートナリングを通じて知見を積極的に取り入れ、事業化の枠組みを大きく広げるとともに、スピードを上げて取り組んでいきます。
なお、事業遂行上のリスクマネジメントは引き続き重要な課題です。各事業が繁忙を極める中でも受注前の「入口管理」を徹底しています。過去の教訓から、過度なリスクを取ることのないよう厳格に基準を設けています。当社グループの強みやリソースを最大限に活かせる案件であるかを商談の初期段階で丁寧に検討し、受注判断を行っています。一方、地政学リスクなど外部環境の変化に起因するリスクに対しては、世界中の情報を集約し、刻一刻と変わる国際情勢が当社グループの事業やサプライチェーンにどう影響するかを多角的に分析して、機敏な対応を心がけています。
今後の長期的な成長を見据え、次期中期経営計画は2027年度から2030年度までの4年間を対象期間とすることを想定しています。これは、2035年度に当社グループが社会でどのような存在でありたいかを定義し、そこからのバックキャスティングで2030年度の当社グループのあるべき姿を定め、各事業部門の成長ストーリーを有機的に組み立てていくアプローチです。その中で、各事業が幅広く、あるいは交差しつつレジリエンス基盤領域に展開する形の、全体像を描いていきたいと考えています。
CSOとしての役割の1つは、「三菱重工」というブランドがより輝いて見えるよう、グループを挙げて企業イメージを高めていくことです。当社が社会のレジリエンスを支え、重要な課題解決に貢献していることをしっかりとお伝えすることで社会に一層認知されたい。同時に当社グループ員にとっても人生を懸けるに足る魅力的な場であり続けられるよう努めていきます。当社グループの成長を支える最大の資産は人材であり、当社グループには、社会課題の解決に挑戦する高い志と優れた素質を持つ人材がいます。こうした人材が潜在能力を最大限に発揮して、自らの志の実現に向けて成長していけるよう育成することは、経営の大事な務めです。特にCSOの役割は、一人ひとりの能力をさらに伸ばせる環境を整備するとともに、人的資本への積極的な投資をエンカレッジしていくことだと考えています。
株主、投資家の皆様におかれましては、当社グループの技術力や優秀な人材といった共通基盤がもたらす長期的な価値創造に今後ともご注目いただきたいと思います。