Special Feature ITOの実践
当社グループでは、各事業で培われた知見やノウハウを共有するとともに、標準化して業務プロセスへ組み込むことで、設計開発の生産性向上を図っています。また、事業や製品を越えて活用可能な設計技術やノウハウの体系化を進めています。
その際に重要となるのが、妥当性が確認された知見や設計ルールを再利用可能な形で整備することです。これにより、従来は設計レビュー段階で個別に確認していた内容についても、あらかじめ定義された手順や仕組みの中で確実に担保できるようになります。また、情報転記やデータ変換などの非付加価値作業を削減し、設計者がより多くの時間を検討に充てられる環境を整備しています。
現在、GTCC事業では、ガスタービン圧縮機の設計プロセスを対象に、標準設計システムの構築を進めています。従来は、3Dモデルの作成から解析・性能評価までを繰り返しながら検討を行っていましたが、多くを手作業で実施していたため、完了までに長い時間を要していました。また、設計作業の一部では設計者個人の経験やノウハウに依存する部分が多く、設計品質の安定にも多くの労力が必要でした。そこで、ボトルネックとなっている設計作業をモジュール化するとともに、設計ツールや解析ツールを連携させる社内共通プラットフォーム(NECOSYSTEM)を活用し、設計ワークフローの自動化を進めています。属人化していた知見および設計ルールを関係者全員で共有し活用することで、設計の品質安定化と検討時間の大幅な削減を目指しています。
標準化された知見や設計ルールは、ガイドラインや設計指針として明文化するとともに、ツールやシステムとして整備しています。このように、品質を確保しながら設計開発の効率化を進め、ガスタービンの増産を支える体制を強化しています。
過酷な高温・高圧環境下で運用されるガスタービンの各コンポーネントの部品は、極めて複雑な形状を有しています。従来、これらの部品は複数に分割して製造したのち溶接により組立を行っていたため、リードタイムの長期化が課題でした。この課題を解決するため、3Dプリンターを用いて材料を1層ずつ積層して立体部品を造形するAdditive Manufacturing(AM)の本格導入・拡大を推進しています。
AM技術の導入により、部品の設計・製造自由度は飛躍的に向上しました。一例として、従来は10点の部品に分割して溶接・組立を行っていた構成部品を一体成形することで、製造コストを60%削減することができました。現在では、年間で4万点のAM部品を製造しており、安定的な生産体制を構築しています。
今後、AM技術の適用範囲をさらに広げ、製造コストの継続的な抑制と、工程短縮によるリードタイムの短縮を推進し、需要拡大に対応できる生産能力の確立を目指します。
▍溶接組立部品の一体造形によるコスト低減
大型ガスタービンは、出力や周波数(50Hz/60Hz)ごとに仕様・寸法が異なるため、生産設備には多様な機種に対応できる汎用性が求められます。従来は、お客様から注文を頂いた順にガスタービンの組立を行っており、機種の変更のたびに作業環境の整備や治具の交換といった段取り替え作業が発生していました。
こうした課題に対し、最新鋭のJAC形ガスタービンの需要拡大を機に生産管理を最適化し、同一機種を集中して連続で組み立てる「連続組立」への移行を進めています。この生産計画の平準化により、段取り替え作業の頻度を大幅に削減することが可能です。結果として、設備稼働率が向上し、既存リソースを最大限に活用した生産能力の増強を実現しています。
今後は、組立工程で確立した効率化ノウハウを部品製造工程(マシニング・加工等)へも展開する方針です。サプライチェーン全体でのプロセス最適化を通じて、中長期的に高い水準で推移するグローバルな需要に対し、より安定的な供給体制を構築していきます。
▍工数削減のイメージ
▍段取り替え(A、B、C機種の組立工程)
| 組立① | A | B | A | A | B | C | B |
| 組立② | A | C | A | B | C | A | A |
| 組立① | A | A | A | A | A | A | A | 増産枠 |
| 組立② | B | B | B | B | C | C | C | 増産枠 |