Special Feature ITOの実践
ITOのコンセプトが、実際の事業運営においてどのように機能し具体的な施策へと落とし込まれているのかを示す実践事例として、GTCC(ガスタービン・コンバインドサイクル)の中核をなすガスタービンの生産能力増強に向けた取り組みを紹介します。GTCCは三菱重工グループの主力事業であり、研究開発からアフターサービスまで一気通貫のバリューチェーンを有することから、そこで培った知見やノウハウを他事業へ広く展開していきます。
▍ガスタービンのバリューチェーン
1 実践事例 設計標準化 2 実践事例 Additive Manufacturing(AM)の活用 3 実践事例 段取り替え工数削減実践事例の詳細は次ページへ
現在、データセンターの急速な普及に伴う電力需要の高まりや、再生可能エネルギーの拡大に伴う調整用電源としてのニーズを背景に、世界規模でガスタービンの市場が大きく拡大しています。このような市場環境の中、高効率・高信頼性を誇る当社グループのガスタービンは市場から高い評価を得ており、2025年度の受注実績は35台(出力換算で16GW)に達しました。前年度比で15台(同5GW)増と大幅に拡大し、特に各地域のベースロード電源(基幹電源)を担う電力会社向けを中心に、大型ガスタービンの受注が堅調に推移しています。
一般的に、ガスタービンは高温・高圧という極めて過酷な環境下で運用されるため、一定の運転時間ごとに部品交換やメンテナンスが不可欠です。受注拡大によって世界中で稼働台数が増加することは、スペアパーツ供給やメンテナンスといったアフターサービス事業における中長期的な機会創出にもつながり、今後の業績貢献が見込まれます。
ガスタービンの需要は、当面、従来の定常的な水準を上回って推移すると予測されています。この中長期的な需要拡大へ確実に応えるため、高砂製作所(兵庫県)および米国サバンナ工場において、生産能力の増強に注力しています。
約3万点もの部品で構成されるガスタービンの生産は、設計、調達、製造、組立のすべての工程が緻密に規定された、広範かつ複雑なサプライチェーンによって支えられています。その中には、拠点や工程を横断してさらに最適化を進められる機会が数多く存在しており、生産性向上やリードタイム短縮に向けた大きな可能性が広がっていました。
当社グループは、この潜在的な課題を成長の機会と捉え、ITOの下で「リードタイム短縮・スループット向上」を推進しています。既に現場から1,000件以上の自発的な改善アイデアが創出されており、一つひとつの業務プロセス改善の積み重ねが、生産能力増強の原動力となります。